ナポリの目抜き通りであるトレド通りから路地を入ったところにある、1860年創業、小さくて偉大な傘屋「マリオ タラリコ」の折り畳み傘です。

ハンドペインティングされたハンドルの人物は、ヴァスコ・ロッシ。イタリアを代表するロックスターであり、国民的な存在です。1952年にモデナ近郊で生まれ、1977年にデビューして以来、反骨精神にあふれた歌詞と感情をむき出しにした歌声で、多くの人々の心をつかんできました。彼の音楽は自由、愛、孤独、怒りといったリアルな感情を描き、世代を超えて支持されています。イタリア人にとってヴァスコは、単なる歌手ではなく、自分たちの人生や時代と深く結びついた「魂の語り部」であり、今もなお圧倒的な人気と影響力を誇っています。

ハンドペインティングを手がけているのは、5代目のマリオ・タラリコ Jr.氏と工房のスタッフたち。

3歳から絵を描き始めたタラリコ Jr.氏は、漫画家か歌手か俳優になるのが夢だったそうで、5歳のときに描いた猫の絵は、学校を通じてスペインの美術館に展示され、10歳のときには児童世界美術コンクールで優勝しました。審査員の前で絵を描いた8人での決勝戦のことは今でも覚えているそうです。

それでも、4代目で叔父のマリオ・タラリコ氏（2024年6月に92歳で亡くなりました）に子どもがいなかったこともあり、家業が他の人の手に渡ってしまう、特に間違った人の手に渡ってしまうことを想像したとき、工房を継ぐ決心をし、10歳のときに叔父のもとで傘作りを学び始めたそうです。

こちら、畳んだときの長さは僅か29cm。大変コンパクトなので、雨が降りそうな日の朝は鞄に忍ばせて出かけられ、重宝しそうです。

【商品詳細】

生産国：イタリア